マンジャロとトルリシティを比較してみた!【糖尿病】

糖尿病

2023年4月、日本イーライリリー(製造販売)と田辺三菱製薬(販売)からマンジャロ皮下注が発売されました。
マンジャロは世界初の持続型GLP/GIP-1受容体作動薬ということで薬剤師としては気になる薬です。
そこで週1回投与のアテオス製剤である、トルリシティとマンジャロについて比較してみました!

オゼンピックとマンジャロの比較はこちら↓

基本情報の比較

商品名マンジャロ®皮下注アテオス®トルリシティ®皮下注アテオス®
一般名チルゼパチドデュラグルチド
作用機序GLP/GIP-1受容体作動薬GLP-1受容体作動薬
適応症2型糖尿病2型糖尿病
用法用量1週間に1回投与
開始用量:2.5mg
維持用量:5mg
最大用量:15mg
※4週以上あけて2.5mgずつ増量
1週間に1回投与
0.75mg
規格・薬価2.5mg:1,924円
5mg:3,848円
7.5mg:5,772円
10mg:7,696円
12.5mg:9,620円
15mg:11,544円
0.75mg:2,807円
保管方法2〜8℃:24ヶ月
室温遮光:21日
2〜8℃:24ヶ月
室温遮光:14日
添付文書より作成

それでは詳しく見ていきましょう!

GIP/GLP-1とは?

本題の前に、血糖調節機構について確認しましょう。

血糖調節にかかわるホルモンについて

血糖を上昇させるホルモンにはグルカゴンやカテコールアミン、コルチゾールなどがありますが。
しかし血糖を下げるホルモンはインスリンのみです。

インスリンは膵臓から分泌され、血中グルコースの細胞内への取り込み促進や、糖新生の抑制により血糖を下げる働きがあります。

GIPとGLP-1のはたらき

・GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)
・GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)

GIP、GLP-1は食事摂取に反応して消化管から分泌されるインクレチンホルモンです。

インクレチン自体は血糖を下げず、食後のインスリン分泌を促進させます。
つまり、インクレチンは、血糖が高いときに作用し、高くないときは血糖を下げにくい、血糖依存的に働くホルモンです。

健康成人において、食後インスリン分泌の最大70%がインクレチン作用によるものです。GIPはインクレチン作用の2/3を担っており、インスリン分泌に対する影響はGLP-1よりも大きいことが示されています。

GIPはグルカゴン分泌を促進しますが、インスリン分泌能も大きいんですね・・・

作用機序と有効性の比較

マンジャロ:GIP受容体+GLP-1受容体作動
トルリシティ:GLP-1受容体作動

ここが最も異なるポイントで、マンジャロはGLP-1受容体、GIP受容体両方に作用します。

マンジャロ(チルゼパチド)インタビューフォームより

これにより、臨床試験で以下の結果が得られています。

血糖低下効果

HbA1c

投与開始時から投与52週後のHbA1cです。
トルリシティ0.75mgと比べて、マンジャロ5mg, 10mg, 15mgでは有意に低下しました(p<0.001)。

マンジャロ®皮下注総合製品情報を参照して作成

空腹時血糖

投与開始時から52週後の空腹時血糖です。
トルリシティ0.75mgと比べて、マンジャロ5mg, 10mg, 15mgでは有意に平均空腹時血糖が低下しました(p<0.001)。

マンジャロ®皮下注総合製品情報を参照して作成

マンジャロは維持量の5mgでもトルリシティより血糖が改善していますね!

体重

投与開始時から52週後の体重変化量です。
トルリシティ0.75mgと比べて、マンジャロ5mg, 10mg, 15mgでは有意に体重が低下しました(p<0.0001)。

マンジャロ®皮下注総合製品情報を参照して作成

これはインパクトのある結果ですね!
減量がうまくいっていない患者さんで効果が期待できそうです!

適応症

マンジャロ、トルリシティともに適応は2型糖尿病です。
当然、インスリンが分泌できない1型糖尿病では使用できません。

また、美容・痩身・ダイエット等を目的とした使用は適応外であり、日本糖尿病学会より注意喚起がなされています。(GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解

用法用量

どちらも週1回製剤で、決まった曜日に皮下注射します。デバイスはどちらもアテオスなので、切り替え時も使用法は変わりません。
トルリシティは固定用量(0.75mg)ですが、マンジャロは用量調節が可能になっています。

添付文書の用法用量は以下の通りです。

通常、成人には、チルゼパチドとして週1回5mgを維持用量とし、皮下注射する。
ただし、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量できる。ただし、最大用量は週1回15mgまでとする。

マンジャロ投与スケジュール

副作用

マンジャロはトルリシティと同様に、消化器症状や心拍数増加に注意が必要です。

消化器症状

添付文書では、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退)の頻度が5%以上となっています。
しかし、胃内容排泄遅延は反復投与で減弱していくようなので、継続するうちに副作用が落ち着いてきそうです。

心拍数増加、血圧低下

心拍数増加、血圧低下の頻度は1%未満なので、こちらも気にしたいところです。
トルリシティでは房室ブロックを有する患者に注意するよう記載があります。マンジャロでも循環器疾患のある場合は注意が必要かもしれません。

また高齢者や低体重の患者では、過度の体重減少のリスクがあるため、投与中はモニタリングが必要です。

まとめ

今回はマンジャロとトルリシティについて比較してみました。

マンジャロはトルリシティと比べて以下の特徴がありました。
・血糖降下、体重減少効果に優れる
・用量調節が可能

減量や血糖コントロールに難渋する患者さんには、適した薬剤だと感じる一方で、多重減少作用は高齢者や痩せた患者さんではリスクとなる場合があるため、上手に使いたいところです。

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