2023年3月よりトルリシティは「国内外での需要増加」のため限定出荷となっています。
供給不足に伴って、代替薬の選択に悩むことも多いのではないでしょうか?
そこで週1回投与のGLP-1受容体作動薬である、トルリシティとオゼンピックを比較してみました!
マンジャロとトルリシティの比較記事はこちら↓
基本情報の比較
商品名 | オゼンピック®皮下注 | トルリシティ®皮下注アテオス® |
一般名 | セマグルチド | デュラグルチド |
作用機序 | GLP-1受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 |
適応症 | 2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
用法用量 | 1週間に1回投与 開始用量:0.25mg 維持用量:0.5mg 最大用量:1.0mg | 1週間に1回投与 0.75mg |
規格・薬価 | オゼンピック皮下注SD 0.25mg:1,376円 0.5mg:2,752円 1.0mg:5,504円 オゼンピック皮下注 2mg:11,008円 | 0.75mg:2,807円 |
保管方法 | オゼンピック皮下注SD 2~8℃:24ヶ月 オゼンピック皮下注 2~8℃:36ヶ月 使用開始後は室温遮光 ※8 週間以内に使用 | 2〜8℃:24ヶ月 室温遮光:14日 |
それでは詳しく見ていきましょう!
GLP-1とは?
血糖調節にかかわるホルモンについて
血糖を上昇させるホルモンにはグルカゴンやカテコールアミン、コルチゾールなどがありますが。
しかし血糖を下げるホルモンはインスリンのみです。
インスリンは膵臓から分泌され、血中グルコースの細胞内への取り込み促進や、糖新生の抑制により血糖を下げる働きがあります。
GLP-1のはたらき
GLP-1は食事摂取に反応して消化管から分泌されるインクレチンホルモンです。
インクレチン自体は血糖を下げず、食後のインスリン分泌を促進させます。
つまり、インクレチンは、血糖が高いときに作用し、高くないときは血糖を下げにくい、血糖依存的に働くホルモンです。
健康成人において、食後インスリン分泌の最大70%がインクレチン作用によるものというデータもあります。
有効性の比較
オゼンピック、トルリシティはどちらもGLP-1受容体作動薬で作用機序は共通しています。
ここで臨床試験で以下の比較試験が行われています。
HbA1c
メトホルミン単独で血糖コントロール不良な患者が対象です。(n=1200)
投与開始から投与40週後のHbA1c変化量です。
トルリシティと比べて、オゼンピックでは有意に低下し、非劣勢と優越性が示されています(p<0.0001)。
n=1200と大規模なため有意差があることを強くアピールしにくそうですが、トルリシティと比較しても有効に使用できそうです。
体重
体重変化でも、トルリシティに対してオゼンピックの優越性が示されています(p<0.0001)。
体重はがっつり差が出ていますね!
用法用量
どちらも週1回製剤で、決まった曜日に皮下注射します。
トルリシティは固定用量(0.75mg)ですが、オゼンピックは用量調節が可能になっています。
0.25mgで開始し、0.5mgが維持用量です。
4週間以上0.5mg投与して効果不十分なら1.0mgへ増量できます。
デバイス
トルリシティのデバイスはアテオスで1回打ち切りです。
オゼンピックはペン型インスリンと同様な「ペン型製剤」です。
オゼンピック皮下注SD
オゼンピックSDは針が内蔵された使い捨て製剤です。
0.25mg, 0.5mg, 1.0mgの3規格があります。
皮膚にペンを押し付けると薬液が注入されます(アテオスと少し似ていますね)。
使い捨て製剤のため、空打ちは不要です。
オゼンピックSDの針は太く、投与時の痛みが強いことが問題視されていました。
オゼンピック皮下注
オゼンピック皮下注は、1本で複数回使用できる製剤となっており、2.0mgのみの1規格です。
1本に2.0mg入っており、ペンのダイヤルを回して投与量を設定します。
0.25mg/週では、1本で8週間
0.5mg/週では、1本で4週間
1.0mg/週では、1本で2週間 使用できます。
また、針は内蔵されておらず、打つたびに装着します。
オゼンピックSDよりも針は細くなるので、投与時の痛みはかなり緩和されます。
投与方法はペン型インスリンと同様に、針を装着して、投与量を合わせ、注入ボタンを押す方式です。
1回目に使用するときは空打ちをする必要があります(2回目から不要)。
まとめ
今回はオゼンピックとトルリシティについて比較してみました。
トルリシティからオゼンピックへの切り替えについて述べられた情報を発見することはできませんでしたが、オゼンピックはトルリシティの代替薬となる可能性があるかもしれません。
ただし、マンジャロ(チルゼパチド)が使用できるなら、マンジャロの使用を優先して考えてもいいかもしれません。
その場合は、過度の体重減少には注意が必要です。
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