2023年4月12日、国民生活センターから「花粉症への効果をほのめかした健康茶にステロイドが含有-飲用されている方は、医療機関にご相談を-」という旨の注意喚起が発表されました。
健康食品は体にいいものだと考える消費者も少なくないでしょうが、実際は有害なものもあるため、吟味して使用することが必要です。
今回は、健康食品で起きた有害事象について一緒に考えていきましょう!
事件の経緯
健康被害を訴えたのは、13歳女性です。
テレビ番組でタレントが紹介した花粉症によく効くというお茶を通信販売で購入。
2021年12月から、4カ月ほど飲むと、花粉症が劇的に改善したとのことです。
ところが、別疾患で受診した際、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)といった検査値が低く、副腎機能が抑制されていることに気づきました。
2022年4月にお茶を止めると検査値が速やかに改善したため、お茶に副腎皮質ステロイド成分が入っていることが疑われました。
調査の結果
調査の結果、「ジャムー・ティー」の表示がある2点の健康茶からステロイド成分であるデキサメタゾンが検出されたと発表されました。
「香塾堂」の「ジャムー・ティー・ブラック(無糖タイプ)」からは3μg/g
「澪森」「森澪混合茶(ジャムーティーブレンド ショウガ+)微糖タイプ」からは29μg/g
のデキサメタゾンが検出されたとのことです。
デキサメタゾンは副腎皮質ステロイドと呼ばれるホルモンです。抗炎症、免疫抑制などの強力な作用をもつため多くの病気の治療に使われます。その反面、作用が強力な分、副作用にも注意が必要な薬です。
1回あたりティースプーン1杯(5g)使用した場合、「澪森」のお茶であれば150μg=0.15mg摂取です。
デキサメタゾンとして、通常成人1日0.5~8mgを1~4回に分割経口投与する。小児には1日0.15~4mgを1~4回に分割経口投与する。
デカドロンエリキシル0.01%添付文書より
デカドロンエリキシル0.01%(デキサメタゾン)の添付文書に従えば、1杯で成人の1日量(下限)の1/3、小児の1日量(下限)なので、かなりの量が含まれている印象ですね。これだけ入っていれば、そりゃ花粉症に効くよなと思います。
過去の事例について
アリストロキア酸を含有する漢方生薬の事例
漢方生薬は副作用が重大でないイメージはありませんか?漢方についても1つ事例を紹介します。
48歳男性、痛風
尿酸値を下げる目的で、漢方薬局から購入した生薬(漢防已)を9ヶ月使用し、全身性の筋痙攣が出現し緊急入院しました。入院後、腎不全と診断され、血液透析を開始しています(維持透析にも移行)。
検証の結果、アリストロキア酸という成分によって腎障害が起きたことが分かりました。
原因となった生薬は、中国からの輸入品を袋詰めにして「漢防已」として販売されていましたが、アリストロキア酸を含有する「広防已」が混ざって輸入販売されていたようです。
参考文献
藤村敏子他.民間療法によって末期腎不全に至ったアリストロキア酸腎症の1例.日腎会誌 2005; 47(4): 474-480
JJN4-5_44055.pdf (jsn.or.jp)
ダイエット用健康食品
ダイエット、痩身の効果をうたった商品での事例は多く、入院するだけにとどまらず、死亡例も報告されています。
厚生労働省:中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)による健康被害事例等 (mhlw.go.jp)
持病や普段飲んでいる薬がある場合
持病がある方では、使用しないほうが良い健康食品、サプリメントもあります。また、普段使用する薬と飲み合わせが悪い場合もあります。
使用したい健康食品、サプリメントがあるなら、医師や薬剤師に相談してみるとよいかもしれません。
健康被害をうけないために
健康食品でかえって健康を害することがあることを紹介しました。
ここで、自分の身を守るためにどのように行動すればいいのか考えてみました。
噂や口コミを簡単に信用しない
タレントやインフルエンサー、広告で紹介されたサプリメントなどにすぐ飛びつくのは危険です。
その人たちはあなたの健康に責任を負ってくれません。
サプリメント、医薬品の個人輸入はしない
海外からの輸入品は、以下の問題点があります。
①品質・有効性・安全性が確認されていない
②偽造品・不良品のおそれがある
③健康被害が起きた際の対処方法が不明
個人的に、リスクに見合った効果が得られないと考えるので、やめておいた方がいいと思います。
健康被害などリスクにご注意! 海外からの医薬品の個人輸入 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
症状があるときはまず病院を受診する
何らかの症状がある時は、健康食品やサプリメントで何とかしようと思わず、病院を受診しましょう。
自己判断するよりも、専門家である医師に判断してもらう方が確実ですし、保険適応の医薬品を処方してもらった方が安上がりです。
まとめ
今回紹介したのは過去の事例のごく一部です。他の商品でも安全でないものがあることは注意が必要ですね!
どうしても使用したいものがあればぜひ、医師や薬剤師に相談してみてください!
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